歯科医の仕事とは：口腔の健康を支える専門職

歯科医は、口腔内の健康維持と疾病予防・治療を専門とする医療従事者である。歯や歯ぐきだけでなく、顎（あご）、舌、口腔粘膜、咬み合わせなど広範な部位を対象に医療行為を行う。歯科医療は全身の健康とも密接に関連し、他の医療分野と連携することもある。

主な業務内容

歯科医の業務は以下のような分野に分けられる：

1. 一般歯科診療

• 虫歯の診断と治療
• 歯周病の治療
• 抜歯や歯の修復処置（充填、クラウンなど）

2. 予防歯科

• 定期検診による早期発見
• 歯垢や歯石の除去（スケーリング）
• フッ素塗布やシーラント処置
• 噛み合わせのチェックと助言

3. 小児歯科

• 子どもの成長に応じた歯科管理
• 乳歯のケアと永久歯の発育確認
• 指しゃぶりや口呼吸などの癖への対応

4. 矯正歯科

• 歯並びや顎の位置の不正に対する矯正治療
• 噛み合わせの調整
• 顎関節への影響の評価

5. 口腔外科

• 親知らずの抜歯
• 顎関節症の診断と治療
• 口腔粘膜疾患や外傷の処置
• 腫瘍やのう胞などの外科的管理

6. 高齢者歯科

• 入れ歯（義歯）の作製や調整
• 摂食・嚥下機能の評価と支援
• 全身疾患を考慮した治療方針の立案

使用される主な機器・器具

歯科医療では、多くの専門器具や設備が用いられる。代表的なものは以下のとおり：

• ミラーと探針：歯の状態や虫歯の確認に使用
• エアタービン・エンジン：歯の切削や研磨を行う機器
• レントゲン装置：歯や顎の内部構造を確認
• 超音波スケーラー：歯石の除去に使用
• 印象材と模型：歯の型取りと補綴物作製に活用
• 滅菌器具：器具の衛生管理を徹底

関連する専門分野

歯科医療には多くの専門領域があり、知識と技術の深化が進められている。主な分野には以下が含まれる：

• 歯内療法学：歯の神経（歯髄）や根管治療に特化
• 補綴学：被せ物や入れ歯などの人工物による機能回復
• 歯科保存学：歯の構造をできる限り保存する治療法の研究
• 口腔病理学：口腔内の病変の診断と組織検査
• 法歯学：身元確認や法医学的調査に関与

他職種との連携

歯科医は、以下のような職種と協働して治療・ケアにあたる：

• 歯科衛生士：口腔衛生指導やクリーニングを担当
• 歯科技工士：詰め物や入れ歯などを製作
• 医師・薬剤師：全身疾患や薬の管理との連携
• 言語聴覚士：嚥下機能のリハビリテーションなどで協力

歯科医の仕事は、単なる虫歯治療にとどまらず、口腔の健康を通じて全身の健康を支える医療行為を多角的に行う専門職である。診断から治療、予防、さらには高齢者支援やチーム医療への参加まで、多様な役割を担っている。